AAFC

旧井上家住宅 SPレコード鑑賞会 開催記録

2016年11月12日

イベントレポート
記録 : 脇田 隆夫

 

江戸時代から手賀沼干拓事業に多大なる貢献をした井上家の旧住宅は我孫子市の指定文化財として、保存整備工事が着々と進んでいる。

今回我孫子市教育委員会との共催事業として旧井上邸にてSPコンサートを実施の運びとなった。
SPコンサートのあと、二番土蔵保存整備事業現場見学会を行い文化財保護の理解を得んとするものである。

市教委との共催事業は旧村川別荘でのSPコンサート、杉村楚人冠記念館でのSPコンサートと数を重ねてきている。

使用する蓄音器は小笠原会員が古い機材を集めて再生したものに手作りの巨大ホーン・・ボール紙に入念なニス仕上げ・・改良を重ね各所で高い評価を得ている入魂の作品。

朝9時45分、幸いの好天。お客様が三々五々集まってくる。風はないが流石に底冷えで体が震える。文化財のため暖房は使えぬので仕方がない。

今回は10時からと13時半からの2本立てでいずれも1時間。

土間に置かれた30脚の椅子はほぼ満席。
歴史を重ねた太い柱、重厚な佇まいの座敷に飴色のラッパホーンが処を得た如く鎮座する。

市教委の方と当会島リーダーの挨拶後、高橋会員による解説で先ずバス歌手によるシューマン「楽しき農夫」 1933年録音。勿論ラッパ吹き込みによる。

朗々と温もりのある太いバスが鳴り響くではないか! 仕事を終えたあとの喜びが伝わる名唱に会場は一瞬感嘆のざわめき・・

1曲ごとに正確にゼンマイを巻く小笠原会員、巻いている間の短時間で曲の解説・紹介をする高橋会員。含蓄のある話は唸らせる。
声楽4曲、ヴァィオリン、チェロ、バンジョー、小唄。良く練られたプログラムは趣向を変えて飽きさせない。
あっという間に全9曲 至福の1時間が過ぎた。

黒光りする質素重厚な座敷には飴色のラッパ蓄音器の音が良く似合う。

終了後、土蔵の保存工事現場などの見学会に参加。
我孫子市の文化財への真摯な取り組み姿勢に襟を正す。
SPレコード鑑賞との組み合わせは良い企画であった。


広報あびこの紹介記事

以上