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手作り蓄音器でSPレコードを聴く会
文化遺産的SPレコードを聴いてオーディオ100年史の黎明期を知る

2017年3月12日

分科会資料
担当 : 小笠原 富雄

 

エンリコ・カルーソ(1873-1921)

① ドニゼッティ「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」

カルーソの「人知れぬ涙」は歴的な名演とされている。
1911年録音 米Victrola 88339 片面盤

アメリータ・ガルクルチ(1882-1963)

 イタリア・ミラノ生まれ。20年代以降ニューヨーク・メットの人気歌手となり30年代までプリマとして活躍。日本でも昭和の初年代にこのコロラトゥーラ・ソプラノの歌手の名を知らない好楽家は一人としていなかった程の大スター。

② アダン「きらきら星変奏曲」

きらきら星は18世紀末のフランスで流行したシャンソン「あのね、お母さん」の日本語名。
イギリスの詩人ジェーン・テイラの英語詞「The Star」による替え歌(Twinkle twinkle little star)が童謡として世界的に広まり、現在では世界中で愛唱されている。

③ エヴァ・デラクワ「つばめ」

フランス歌曲「牧歌」。 “私はつばめが飛ぶのを見た”と歌う。
②1921年録音③1920年録音 米Victrola 6131

マルコム・マッキカーン(1882-1945)

 オーストラリア生まれのバス歌手。1921年以降、主に英国で活躍、メルバなどとも共演し、英米系では最高のバス歌手と認められた。オペレッタ、オラトリオなど200曲近いスタジオ録音をし、軽喜劇やポピュラー曲も得意とした。

④ ヘンデル「調子の良い鍛冶屋」
1933年録音 英Columbia DB1059

中山悌一(1920-2009)

 バリトン歌手。大分県出身。ドイツ歌曲を研究し、1941年東京音楽学校卒業。1952年、柴田睦陸らと二期会を結成し理事長を務める。
 東京芸術大学教授、武庫川女子大学教授、洗足学園大学客員教授を歴任。弟子には大賀典雄、伊藤京子等がいる。
 1950年、1957年毎日音楽賞受賞、1983年紫綬褒章受章、1991年勲三等瑞宝章受章。妻はピアニストの中山靖子(朝倉靖子)。

⑤ シューベルト「冬の旅」より「菩提樹」
⑥ シューベルト「さすらい人」
1941年録音 日Victor NB-5001

リリー・ポンズ(1904-1976)

 コロラチュラ・ソプラノ歌手、女優。南仏ドラギニアンで生まれ、パリ国立高等音楽舞踏学校で学ぶ。アメリカで活躍した。

⑦ アリアビエフ「ナイチンゲール」
1935年頃録音 米Colunmbia M484

関屋敏子(1904-1941)

 ソプラノ歌手、作曲家。東京小石川区(現在の文京区)に生まれる。三浦環に師事、後イタリアのテノール歌手アドルフォ・サリコリに学ぶ。1928年ミラノのスカラ座に入団、プリマドンナとし活躍し、ドイツ、アメリカなど各地で出演。1933年パリで自作「お夏狂乱」を発表する。

⑧ ベルゴレエジ「ニーナの死」

亡き児をいたみ哀しむ美しい歌で、世界中で愛唱された。
東京音楽学校教授 吉丸一昌訳。

⑨ ロイター「四つ葉のクローバ」

ロイターはアメリカのピアニスト。1909年来日1912年までの3年間、東京音楽学校で教えた。この歌はロイターが在日中に作詞(英語)作曲したもの。邦語歌詞は吉丸一昌が作った。
1929年録音 日Victor 13071

フェオドール・シャリアピン(1873-1938)

⑩ ロシア民謡「ステンカラージン」
⑪ グリンカ「疑惑」

クコリニークの詩に作曲した感動的な歌曲。恋人の愛を疑い、苦しみ悶える様を歌う。
1935年頃録音 日Victor DB1469

ヨゼフ・シゲテイ(1892-1973)

⑫ フバイ「そよ風」
⑬ クライスラー「フランクールの様式によるシシリアーナとリゴードン」
1940年頃録音 英Columbia L1788 80回転盤

ルネ・ベネデッティ(1901-1975)

 フランスのヴァイオリニスト。1942年から1971年まで母校のパリ音楽院で教授。教え子にフェラスやカントロフなどがいる。フランスのハイフェッツなどと云われた技巧派。

⑭ サラサーテ「スペイン舞曲集」より「マラゲーニア」「ハバネラ」
1930年頃録音 日Columbia J-7954

イヴォンヌ・キュルティ(生没年不詳)

 フランスの女流名ヴァイオリニスト。SP盤華やかなりし1930年代にフランスで活躍した。その個性濃厚な弾き方はSPファンには有名。

⑮ モンティ「チャルダーシュ」
1935年頃録音 仏Columbia D19041

パブロ・カザルス(1876-1973)

⑯ バッハ「アリア」(G線上のアリア)
⑰ バッハ「アンダンテ」(ヴァイオリンソナタ イ短調から)
1930年頃録音 米Victor 7368

小唄勝太郎(1904-1974)

 本名 真野かつ。新潟市生まれ。大正末期清元の師匠となるべく上京、人形町に籍を置き勝太郎と名乗る。
 レコード産業の黎明期と重なり愛くるしい笑顔と美声で評判となった。1932年銀座の柳植樹を記念してA面四谷文子の「銀座の柳」B面勝太郎の「柳の雨」で大ヒットとなった。
 昭和46年紫綬褒章受章、昭和49年勲四等宝冠章受章。

⑱ 俗曲「柳の雨」

市丸(1906-1997)

 本名 後藤まつえ。長野県松本市生まれ、19歳で上京、清元、長唄、小唄それぞれの名取となるまで精進を重ねた。その天賦の美貌と美声を買われ、人気芸者となった。
 昭和44年文化庁芸術祭優秀賞受賞、昭和47年紫綬褒章受章。昭和56年勲四等宝冠章受章。勝太郎とは出番や着物、出演料に至るまで相当張り合っていて「市勝時代」「勝市時代」と云われた。

⑲ 俗曲「香に迷ふ」
⑱⑲1937年頃録音 日Victor V-40010

蓄音器の音     素顔の自然な音
              
CDの音      入念に化粧した音
            

以上